it's you who knows

じぶんらしく

奴隷のように働いた

   今年は例年より暑くなる。なんてことをどこかの機関が発表したのを何かで見かけたのだけれど、そんなセリフ毎年のように聞いているじゃないか。お気に入りのフレーズなのだろうか。まあ例によって今年も暑いようなのでみんな気をつけて。特に食中毒とかほんと気をつけて。俺この前仕事中にゲロ吐いたから←え...?

 

   最近僕は仕事の日、昼食は車の中でとっている。なぜかというと、炎天下の日差しのもと灼熱のサウナハウスと化した車の中で汗をかいてデトックスしたいからなのだ。もちろん嘘である。本当は、職場の人たちと同じ休憩室で食事をとっていても誰と話をするわけでもないし、正直息苦しい。車の中なら、自由に音楽を聴きながらネットサーフィンもできるし、座席を倒せば横にもなれる。ビバ自家用車。自由は我が手にあり。50分で終わるけど。というのも、休憩は12:00から1:00の間なのだが、もちろん12:00ジャストに休憩に入れるわけもなく、開始5~10分をロス。また、休憩終了5分前には現場にいなくてはならないという暗黙のルールがあるようでそこで5分ロス。実質45~50分休憩というわけだ。日本人精神ここに極まれり、といったところ。なぜそこまで頑張るのか、12:00ジャストに切り上げられるようにして1:00に現場に着いていたらいいじゃないか。そこまでして生産性が飛躍的に上がるとはとても思えない。聞く限り、旧態依然とした信念をお持ちの企業のようなので致し方ないだろう。

 

   そしておととい金曜日。昼休みももうすぐ終わる12:44のこと、突然電話が鳴る。着信番号はどうやら僕の担当営業さん。電話に出たところ、その日の夕方ほどにその担当営業さんが来るらしく、僕、担当営業さん、外勤先の担当さんの3人でお話しをすることになった。

 

    遡って今年4月の後半。約1ヶ月と少し前。僕は電話をしていた。相手は自分担当の営業さん。(以下Hさん)

 

   さらに遡って去年11月。諸事情により、僕は特定派遣の社員として雇われることになった。恥ずかしい話ではあるが、僕はとにかくプライドが高い。知能は低いくせに、プライドだけはエアーズロック。そんな虚栄心の権化のような僕にとって、現代に生きる奴隷制度、もとい派遣として働くことは、それはもう手元にハンカチでもあれば食いちぎる勢いで悔しい思いだった。エアーズロックアトミックボムが落とされたのだ。だがしかし、それを我慢しなければならない理由が当時の僕にはあった。今回それを語るのはやめておく。いつか別の場所で語らせてもらおう。

 

   かくして、特定派遣として働き始めた僕だったのだが、外勤先での仕事内容はなかなかどうして肌に合わなかった。仕事の内容も好きでもなければ、やりがいも見出せない。一緒に働くチームのメンバーもみなさんそれぞれクセがお強い(笑)。まあ書き出したらキリがないのでこの辺で。5ヶ月目に入ったところで僕は自分担当の営業さんに外勤先を変えたい旨を打診した。もちろん営業さんも金のガチョウ、もとい現代の奴隷、もとい派遣社員が働かなくなることは自分の成績に響くようでしつこく引き止めてきた。僕だって今の仕事を辞めたいと思ったことはありますよ~とか、どんな仕事にも辛いことはつきものですし~とか、まあ社会人になりたての若造が後輩の学生なんかに鼻高々に言う中身の薄い言葉に僕の退職意志は高められていくのであった(爆)

 

   だがこちらも負けてはいられない。俺の20代前半の貴重な時間をこんなことに浪費してたまるものか。10分ほどの攻防の末、俺は勝利を勝ち取った。これが4月の後半に営業さんとした電話だ。

 

   そしてやっと一昨日金曜日に話は戻る。

 

   営業担当、外勤先担当、自分の3人で三者懇談、進路相談。中学生の頃が懐かしいぜ。などと感傷に浸るもつかの間。今度は外勤先の担当さんからの辞めないでアピールが。そもそも人が一人いなくなるだけで回らなくなる職場はやばすぎるだろ、何考えてんだ。その安易な考えのしわ寄せが俺たち現場にきてるんだって。とはいうものの、僕は仕事中は真面目誠実品行方正に勤めているので、そういう面で辞めないでいてほしいというのもあったらしいが。正直者や真面目な者はバカを見る。今まで痛いほど経験してきている。今回は二度と同じ失敗は繰り返さないのだ。真面目に忠実に頑張っている人間ほど搾取されていき、世間ズれした狡猾な人間ほど楽に生きていけるのだ。残念ながら僕は後者になることはできなかった。いままでなろうと努力はしたけれどできなかった。ならばこの性格を活かせるところで働けば良いのだ。それは少なくともこの職場でないことは明らかだった。思いの丈を担当者2人にぶつけ、なんとか6月末で退職という話を勝ち取った。そのまま派遣社員として働くことも終わりにすることにした。

   7月には一度地元に帰る。そのあとはどうにでもなるだろう。元来風来坊な自分だ。今の自分は半年前の自分とは違う。あの時とは違って、今度はもっと、目先の欲にとらわれず、落ち着いた目で先を見据えられるだろう。

自分

 いやしかし本当に月日が経つのは早いものですね。僕が実家を飛び出してからもう5ヶ月が経ったということだ。十年一日。光陰矢の如しとは、よく言ったものだ。初めての場所、初めての人、初めての仕事。この5ヶ月は初めてのことがたくさんあふれていた。地獄のような環境から抜け出せはしたものの、失った代償もまた決して少なくはなかったけれど...。だがまあ、それでもたくさんの人の助けのおかげで、おかげさまで、なんだかんだやってこれた。まだたったの5ヶ月だけれどね(笑)

 

 この5ヶ月は僕にとっては"自分探し"の良い機会になった。
去年12月になんの計画もなく逃げるように実家から飛び出した。もちろんそんな自分に仕事を選ぶ余裕など無かった。なんの仕事かはここでは伏せておくけれど、それはもちろん僕のやりたい内容の仕事ではなかった。だけれど、すぐにでも実家を出たかった。あれ以上あそこにはいられなかった。何も自分が完全な被害者だなんていうつもりはなかったけれど、もう気が狂いそうだった。身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ。やるしかなかった。

 

 仕事は本当に辛くて、上司も当たりがキツい。だけれど、自分はもう成人した大人(中身は子供だけどね)。こんなことでクヨクヨするだなんて情けない。どんな仕事も辛いことはつきものだろう。楽な仕事など無いのだ。(と言い聞かせた(笑)) 
『拓、最初が肝心だからね。』引っ越す直前に先輩が言ってくれた。それに対し自分は『わかってる♪』なんて返した。他たくさんの人たちにも激励の言葉をもらって地元を飛び出したのだ。みんなの気持ちを無下にはできまい。

 

 高校生の頃のアルバイト、社会人になってからの仕事、自分で言うのは馬鹿らしいが、どんな仕事もそつなくこなしてきた。早く、正確にやろうと意識し目標を持って取り組みどんなことも上達してきてみせた。だけれど今回だけは違った。例外だった。どんなに努力してもうまくできない。この言葉は嫌いだけれどつい口に出てしまった。『この仕事は自分に向いていないなあ』と。これは5ヶ月経った今でも感じている。上手くもできなければ楽しくもない。職場の人間はいつもみんなピリピリしている。おまけに全員が嫌い合っている始末。笑った。

 

 あっという間に過ぎて行った5ヶ月。我慢すれば1年だってあっという間なのだろう。だけれど思う、この短い人生、20代前半の貴重な一瞬一瞬を我慢して過ごすのか? 自分を殺して愛想を振りまき、自分を騙して微塵も興味も意欲も持てない仕事を続ける? 耐えて耐え抜けば未来の自分は達成感に溢れ輝くのか? 
俺は10年後、20年後、30年後、死ぬ前に、後悔するのは絶対に嫌だ。

 小さい頃から人の目や顔色ばかり気にしてきた。馬鹿みたいに周りの期待に応えようと考えていた。成長して、その中身の無い脆弱な意志に気づき、自分という人間が空っぽだったことに気づいた。リバウンドというわけではないだろうが、それに気づいてからは、自分らしさや個性(特別性とでも言おうか)に強く固執してきた。

 今の自分は自分らしいのだろうか? いうまでもない。否だ。
他がために僕が苦境を耐える必要も無ければ、誰かのいうことに従う必要などさらさら無い。醜い日本人魂、我慢や忍耐。自分を幸せに出来ない努力に価値は無い。僕にとってはね。


   自分探しで見つかるのは、大抵は、嫌になるような惨めな自分。が、そんな自分と向き合って、愕然として立ち止まるか、一歩進むかも又、自分次第だ。

これは好きなドラマの一節。

引用を呟くのは好きではないけれど、この言葉は気に入っている。今や僕は失うモノなど無い、胸を張って言えることではもちろんないけれど、ならば恐れることも何もない。このチャンスは逃してはならない。どんなことも、やりたいと思ったその時こそがやり時なのだ。お腹が空いていない時にごちそうを見せつけられたところで魅力的でもあるまい。


   自分が自分であるために。自分を幸せにするために、普通でも平凡でもない、自分の個性、強みを最大限活かせることをしていきたい。というか、することにした。(笑)

それが何なのかは、もう少し、あとで話そう。


たくフェイス

『どうしました?拓先輩。表情が優れませんね。また、体調不良ですか?』


普通の顔だったのに。人の真顔をそんな風に言うだなんてなんてやつだ。こんなことを言う不届き者は誰か決まってる。そしてこの突然のエンカウントといえば奴だ。戸哲ちゃんである。噂をすればなんとやら。日記に書いたのは失敗だったか。(もちろんこの日記はひっそりTwitterのプロフに乗せているだけなのでアカウントを持っていない彼が知る由もないが。)


話は今日の昼に遡る。

今日の昼は友達に誘われランチに行ってきた。家でランチを食べた後にランチに誘われてしまったのだが、このまま家にいてもせっかくの日曜日がパーである。好機逸すべからず。誘いに乗ってデザートだけ食べに行くことにした。


現地集合。現地解散。ランチはあっという間に終わらせ帰ってきた。そのまま帰るのはわざわざ家を出た労がもったいないので家の近所のお店でウィンドーショッピングをした。自分のひもじさに拍車がかかる。その時に声をかけられたわけである。突然。何の前触れもなく。後ろから。


驚きながらも戸哲ちゃんこそ何をしているのかと問うたが、『仕事中ですよ。』と答えられた。嘘つけ。私服でこんなところにこんな日に。どんな仕事だよ。ミステリーショッパーか君は。


にしても尾行でもされてんのか疑うレベルである。もう慣れたけど。これで相手がブスなら警察沙汰だが、きゃわたんな歳下だというのだから許してしまう。きゃわたんは正義。宇宙を救う。まあどうやら俺と彼は比較的家が近いようである。そんなことを言っていた。


『で、どうされたんですか?何か嫌なことでもありましたか?』確かこんな感じに聞いてきた。執拗に聞いてきた。何でもないって言ってるじゃないか(笑)まったく。


『てっきり拓先輩、クリスマスを目前にして彼氏がいない現状に絶望しているのかと思いました。』


毎度戸哲ちゃんの発言に『』を使っているが、俺はそこまで記憶力が良いわけではないのでうる覚えだ。


むうっとした顔で俺は戸哲ちゃんを睨むが、彼はニッコリ。目が笑ってないよ戸哲ちゃん。俺こわい。


『まあ今は彼氏なんて考えない方がいいと思いますよ。僕は。拓先輩、今は色々大変でしょうし。果報は寝て待てって言うじゃないですか。』色々ってなんだよ。そんな君こそ恋人いるのかよ。と、めんどくさいツッコミは入れなかったが、仕事って何時までなの?と聞いたところ、『今終わりましたよ。』と返ってくる。待って。俺はもしや時間潰しというかサボりの共犯にさせられたのか。とここはツッコミを入れたが、ではまた近いうちにお会いしましょうと言ってぬぅっと去っていった。ほんとあっさりしてる子(•ω•`)。


俺は気が引けてしまいそのまま家に返って寝た。夕方起きると牛丼ディナーのお誘いが来ていたので家を飛び出し車を走らせた

こてつアキューズ

『あ、拓先輩。ちーすでーす。』


神出鬼没。図らずともしばしばニアミスしてしまう。そんな知人、友人がみなさんにはいるだろうか...?


1ヶ月ほど前、友人からある1人の男の子を紹介された。彼の名前は戸哲(こてつ)君。"こてつ"そのものなら聞いたことのない名前ではないけれど、戸哲となるとそんな名前は俺は寡聞にして聞いたことがない。失礼ながらとんだネーミングセンスの親だと思った。


戸哲君は一つ下の21歳。言葉遣いが大変お良ろしいニューフェイスだ。暫く新しい人と出会うことなどなかったので俺は軽く緊張してしまっタ。おまけにちょっとイケメンだ。食べちゃいたい...。とはさすがに初対面で言うほどお花畑なオツムではないので全力でポーカーフェイスを出力した。


話してみると程よいフランク加減で話しやすい。久しぶりだなこんな人。なんて思った。たまに毒を吐くところもなんだかんだ好き。もちろんloveではなくlikeである。


そもそも当時、僕には片恋相手がいたので他の人間にloveの意味での好意を抱くことはなかった。そう、俺には片想いの相手がいたのだ。いた。there were...。were。過去形である。


もしかしたら今でもその想いは生きているのかもしれないけれど、そんな想いを相手に打ち明けようとした直前。俺は取りつく島もなく拒絶された。


だがそれはなにも他人が知る必要のあることではない。他人に話す必要もないこと。俺の胸一つにしまっておけば良いことだったのたが。誰かに話してラクになりたかったのか俺はつい戸哲君に自分の玉砕話を語ってしまった。


『それは無粋なことをしましたね。拓先輩。』

そんなことを戸哲君に言われてしまった。しょぼんである(´•ω•`)。ただ、多くの人がワケもなく同情する中、彼だけがそう言った。そんな彼の実直とも言える発言に、媚を売らないその態度に俺は惹かれた。


それから戸哲君は攻めに責めてきた。これでもかというくらいに顔を近づけながら『拓先輩は相手の好みじゃないんでしょ?』『誰がニート(仮)と付き合いたいと思うんですか?』『歳も違いすぎますよ。』『不詳拓先輩がどうして殊勝◯◯さんと付き合えるんですか?』『勘違いも甚だしいですよ。』


しょぼんである(´•ω•)他にも色々言われたの。

だがごもっともでございます(笑)


少し気分が悪くもなったが、ハッキリ言ってもらえたことで逆に気も晴れた。恋は盲目なんて言うけれど、全くその通りである。戸哲君は俺に目薬をさしてくれた。会って早々俺の心を打つとは期待のニューフェイスである。


などと思っていたら、戸哲君は仕事があるからと簡単に挨拶を済まして帰ってしまった。流れのまにまに独りになってしまった。せめて連絡先くらい交換させてくれよ!(普通の友達としてな!)


連絡先すら知らずに別れた戸哲君だったが、俺はその後も度々彼に会うことになる。本当に不思議なものだ。そう、それは本当に神出鬼没という言葉が似合うほどに。